灰空と水溜りの小説用ブログです。 我が子とかオリキャラとか駄文を気まぐれに徒然と。 BLだったり鬱っぽいもあるので苦手な人はご注意。
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先日瀞ちゃんに送りつけたカイユエ小説をUPします。
内容がアレかもしれないので収納しときます^^
ぎゃ なんかはずい
俺たちは幼馴染で、友達以上恋人未満で、そしてどこまでも他人であった。
<温度>
ガンッ、鬱憤を晴らすようにありったけの力を込めて箪笥を蹴った。
それが人の家の家具だとか、蹴った部分がえぐれただとかそんなことはどうでもよかった。
「ずいぶんと荒れているね」
ソファに腰掛けて本を読んでいたアイツは目線をそのままに、「俺の箪笥なんだけどね」と苦笑いを浮かべている。
久々にあったユエは相変わらず飄々としていてその態度が今日はじくじくと気に障った。
「・・・・・」
ガンッ、同じく手頃な壁を殴る。ぱらぱらとセメントが拳についた。
ユエは今度こそ読んでいた本をパタンと閉じた。赤い目がかち合う。
それはすぐにそらされて、視線は拳へとうつったようだ。
「・・・・、修理屋を呼ばなければいけないな。」
怒るでもなく、また困ったように薄っすらと笑みを浮かべた。
「おいで、」と招かれる。「血がでているよ」肉付きの少ないほっそりとした指が右手をとった。
「ユエ」
その指を絡めとって、そのまま押し倒す。ユエの長い紫暗の髪が流れに沿って落ちていく。
組み敷かれてなお、ユエは呆れたように微笑んでいた。しょうがないな、と優しげに目を細めて。
「おいで、カイム」
頬にあてがわれた手のひらの温度はひんやりとしていてどこか温かかった。
暗い渦に落ちていく。舌を這わす温度はじくじくと歪んだ痛みを和らげていくような気がした。
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